慢性膵炎の治療・手術
慢性膵炎の治療は慢性膵炎初期である代償期と、中期から後期である移行期と非代償期の治療に分かれます。
代償期の治療
代償期は、膵臓の機能がまだ保たれている時期です。代償期の治療は、膵臓の炎症や痛みを抑え、無事ですんでいる細胞を残す目的で行われます。病気が発覚した直後の急性期には、急性膵炎の治療と同じ治療が行われますが、何度もくりかえして症状がつづくときには以下のような治療が行われます。
食事療法
アルコールが主な原因でおこるため、まずは禁酒を行います。また、暴飲暴食や脂肪の多い食事なども避ける(1日30~40g以下)ようにします。ほとんどの場合、これで痛みは軽減します。
薬物療法
消化や吸収をたすける薬が用いられます。腹痛などの症状がないときは、膵庇護作用が期待される消化酵素薬や膵液分泌抑制を目的とした制酸薬が用いられます。
腹痛がある場合には、タンパク分解酵素阻害薬や抗コリン薬などのが用いられます。また、激しい痛みに対しては鎮痛薬や鎮静薬が用いられます。
心理的な要因で痛みが起こっていると疑われる場合には、抗うつ薬や抗不安薬が併用されることもあります。
内視鏡による治療
内視鏡を使った治療です。
膵管が狭くなっていたり、石が詰まっていたりする症状がとれない場合に行われます。
外科的治療
膵液の流れをよくする手術です。膵臓、膵管を切り開き、膵液が流れやすいように小腸の一部を膵臓にぬいつけます。
痛みが強く、内視鏡的治療で改善しない場合に行われます。
移行期・非代償期の治療
移行期は代償期と非代償期の症状が混在するので、患者の状態をみながら治療が行われます。また、非代償期は、膵臓の機能が著しく損なわれた時期です。禁酒を前提にしながら、膵臓のはたらきが悪くなっていることで失われている機能を補うことが目的とされます。胆石・高脂血症・副甲状腺機能亢進症・膵胆道合流異常症など明らかな原因がある場合は、それぞれの治療を優先します。内分泌機能の低下から、膵性糖尿病を発症することもあるので、それに対する治療も重要です。治療法には以下のようなものがあります。
食事療法
血糖のコントロール機能が低下しているため、血糖値の急上昇を防ぐ食事を行います。そのほかは、代償期と同様です。
薬物療法
消化吸収障害や糖尿病に対する機能補充療法(糖尿病で失われた機能を補う)が中心になります。消化吸収に障害がある場合は、脂溶性ビタミンを含む総合ビタミン薬、H2受容体拮抗薬などの制酸薬、リパーゼ含有量の多い消化酵素薬が用いられます。また、消化吸収のはたらきをたすける消化酵素などの薬が用いられることもあります。
食事療法で血糖値をコントロールするのが難しい場合は、インスリン注射を行い、血糖値をコントロールします。高血糖が続くと、神経症や網膜症、腎症などの合併症をおこすことがありますので、定期的にチェックします。
手術
手術は、薬による治療に頑固に痛みが残る場合、悪性腫瘍との区別が難しいとき、あるいは内視鏡的治療などが困難な胆管・十二指腸狭窄・仮性嚢胞などがあったときに、手術が行われます。手術な方法にはさまざまなものがあり、病気や患者の状態によって決定されます。詳しい手術法は医師の説明聞いて、必ず理解するようにしてください。
合併症の治療
合併症があるときは、以下のような治療が行われます。
| 合併症 | 症状 |
| 膵石 | 内視鏡を用いて膵石を取り除きます。小さな石であれば1、2回で取り除くことが可能です。大きければ、外から衝撃波を当てて石を砕く体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)ガ行われます。もともと尿管結石や胆石の治療などにもちいられる方法です。 |
| 総胆管狭窄 | 総胆管にカテーテルを入れて狭くなった部分をバルーンで拡張する、あるいはステントで拡張して胆汁がうまく流れるようにしむけます。難しければ外科手術を行います。 |
| 膵のう胞 | 自然治癒することもありますが、なくならない場合は感染症を起こすこともあるので、外科手術で切除することがあります。 |




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